ここからいくつか後方からのプレーに関して実例を用いて説明したいと思いますが、忘れてはならないのがシステムなどの大まかな輪郭を映像などの資料から捉えてそれを自チームの戦術練習に還元するなら、その練習自体で個人スキルをも上げるように促したいということです。
これは再三、このサイト内や拙著でも申し上げています。
例えばシステムのおかげで、後ろ向きではあるが相手から3m離れてボールを受けられるとき、その選手に対する声掛けがボールの受け手によっては「フリー」や「ターン」であったり、「マノン(しょってる)」や「ボールを戻せ」であったりするわけです。
これは当然、その個人のスキルレベルに左右されます。
個人スキルは個人テクニックとは違うので、ターンの向き、種類、ターンするときに使う足の左右、部位、複数方向からのプレスを受けにくい立ち位置、動き出しのタイミングなど、様々な認知や判断も伴います。
つまり戦術練習で個人スキル向上を促したい、という以前に戦術練習と個人スキルの練習は分けて考えることが難しいということです。
が、180度意見を変えるようですが、大小両方のターンのテクニックやファーストタッチのテクニック、マルティプルタッチのテクニック(270°ターンなどです)などの向上においては、パターンドリルの方が効率がいいことがあります。
ここで言いたかったことは、練習スタイルうんぬんではなく、戦術という輪郭に頼りすぎずに、あくまで個のスキル、という素材の質を上げることを忘れないでいただきたいということです。
例えば4-4-2フラット同士の対決でDFラインにプラス1を置かない喧嘩四つスタイルで戦ったとき、特別な仕組みなど無くても個のスキルが相手より高ければゲームを支配することはできます。
よく勝つチームの試合というのは得てして手堅く力強い一方で、時に戦術的な面白みや発見などは無かったりすることもあります。
自戒も含めてしつこいくらい戒めたところで、映像を見てみましょう。