プレッシングとリトリート(後退)の取り扱い方④(全7回)

 

 

ここまでで守備の強さ弱さにもいくつかのジャンルがあることが分かりましたが、それでは短中距離のパス交換と個人のボール保持のスキルに優れている、がプレッシングは弱く、ミッドフィールドからたびたびディフェンスラインの裏にボールを送られてしまう、というタイプのチームはどうすればいいのでしょうか。

 

その答に、ポゼッションとプレッシングは「基本」切っても切れない関係、というふうに「基本」を強調したわけがあります。

つまりポゼッションフットボールをしておきながら奪われた瞬間のプレッシングよりリトリートに重きを置いている(ように見える)サッカーを体現しているチームがあるということです。

 

ここで念のためポゼッションフットボールとプレッシング、そしてそのプレッシングをかわされた後の一般的なチーム戦術、というほどのものでもない、チームの考えを整理しておきましょう。

 

基本的に効果的なポゼッションフットボールを展開できれば相手8人以上(この人数の考え方に関してはまた別の機会に解説します)ボックス内あるいはボックス付近に押し込めることができます。

効果的なポゼッションフットボールの解説に関しても語りだすと本が一冊出来上がるのでここでは割愛します。

 

ここで最後の一手のペネトレーションの試みで相手をひっくり返した(相手をゴールライン方向に向かせた)状態でボールを奪われた場合はそのまま前を振り向かせないようにすぐにプレスをかけにいきます。(図12)

素早い攻守の切り替えです。

 

図12

 

場合によってはインターセプトのような形で前(ハーフウェイライン方向)に推進力がかかった状態でボールを奪われることがありますが、いずれにせよ相手の自由を奪うために素早くプレスをかけに行きます。(図13)

 

図13

 

ここでの第一希望はもちろんその場でボールを奪い返すことですが、それができなくてもプレスをかけにいくことによりディフェンスラインの裏にクリア気味の精度の低いボールを蹴らせることで、数的優位に立つTertiaryのDFたちがボールを回収できます。(図14)

 

図14

 

深い位置まで押し込められた8人(以上)前線で待つ選手との距離ができているので、ボール奪取した選手が裏ではなく前線の選手に収めさせるようなボールを送ることができたとしても、前後から挟んでボールを回収しやすくなっています。(図15)

 

図15

 

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