場面の切り取り方によって見えてくるもの③ (全6回)

 

 

これまで右WMのダウンやCFのオープンなどの分かりやすい仕掛けを用いて説明しましたが、守備側にとって担当する相手選手の存在とボールサイドゴールサイドの意識という背景がある限り、右AMをフリーで走らせた以上CF右WMを(図1と同じになるように)元の位置に戻しても「2つの2v1が存在する3v2が出来上がってしまうということです。 (図9)

図9

あるいはCFのゴールサイド(GS)をきちんとケアしている右CBまで含めたFBから右CBまできれいに2選手のBSもGSも取っています)プラス右WM(フリー)と考えることもできます。(図10)

図10

右WMから右CBまでの単純な3v3と捉えることはこの状況では間違いです。

ホールドされていようがいまいが右CBCFのレシーブスペース(≒ボールサイド)をケアできていないからです。

というわけで数的優位は感じられなくてもポジショナルな優位性がここにはあります。

ちなみにこの「〇〇優位」という言葉は各国のサッカー協会や組織、最小単位ではチームが共通言語としてネーミングして利用していますが、よく知られているものには数的優位とポジション優位があります。

ポジションを語るときに主に場所とアングル(選手の体の角度)を中心にその定義は展開されがちですが、私は選手を指導するとき「方向」も(アングルと被る部分も少しありますが)同じくらい重要視して言語化、体系化しています。

また選手選考や戦術採択にもこの「方向」の考慮が必要になります。後述します。

今回の例でいうと右FB右AMの位置関係≒パスが向かう方向、右AMがどこから走ってきたか(オフザボールのフリーランの方向=が向かう方向)、そして相手選手がパスの受け手に向かってくる方向です。

図1~図10までの説明だとボールを受けた右AM左CBが距離を詰めにくるものの遅れているので右AMは中を向いてシュートを打てるか(図11)左CBのゴールライン側を通すパスをCFに出せます。(図12)

図11

図12

あるいはそれを嫌がって左CBがダウンを優先してできたスペース、プルバック(鋭角のマイナスボール)をCFに通せます。(図13)

図13

しかしこの右AMのアンダーラップに対して分析済みの守備チームが基本フォーマットとしての守備システムを用意していたとしたらどうでしょう。

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