「選手の特徴」の活用法⑤(全10回)

 

 

これを少しさかのぼってDMCB-FB間に入るパターンで解説しましょう。

 

図13

 

この残された1DMをサポートする代表的なシステムに、WG(ウィンガー)/WM(ワイドミッドフィールダー:サイドハーフ)の斜め落ちがあります。

いくつかの図の説明の時点で既に、右WGは角に張った状態ではなくゲート(左WM-左CM間)に顔を出していました。

 

この状況下において右WGがこの場所にいることの方が有益なこともあれば、さらに下りてMFユニットに姿をさらす方がより利益になることもあります。(図13)

 

その場にいることがより利益になるというのは、言うまでもなくゲート(左WM-左CM間)にパスを通すためのことを意味していますが、仮にゲートにパスを通せなくてもこの2選手(今回の解説では特に左WM)の警戒心を斜め落ちした右WGに持っていかせることができるだけでもこのエリアでのビルドアップの助けになります。

 

 

 

図14

 

右WG左WM自分に警戒させたおかげで右CB右DMへボールをつけた場合、そこへのプレッシャーが遅れるし、場合によっては右CBから直接右FBへボールを送ることもできます。

その後はWG’sボックス(赤枠)内で浮遊した右WGにパスを送れるか、左FB右FBに対するプレスが遅れれば裏へ送ることもできます。(図14)

 

とはいえ右CB左FWのプレスを完全にいなし切っていない、そしてゲートまでの距離があるこの状況では2選手(左WMと左CM)ともゲートへのパスに対しての恐怖心、警戒心はそれほど持たないでしょう。

 

このような状況下では右WGMFユニット(この場合、特に左WM)に姿をさらして引きつけるプレーの方が一般的です。(図15)

 

図15

 

DMに求められているメトロノームのプレーを右WGが代わりにします。

左WMはくさびになった右WGにつられている分、ボールを受け直した右DMへのプレスが遅れます。

 

その後は右FBCF、またはディフェンスラインの裏へとボールを送れる可能性があります。

 

ここまでの説明は、センターでボールを受けて散らす役割をWGに求めていた場合のものですが、もしMFFBWG(WM)の誰もがそのプレーをやりたがらない、苦手だ、というチーム事情、チーム状況だとディープビルドアップは成立しづらくなります。

 

それではここでこの役割をFBに求めたときの基礎概念を見ていきましょう。

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