「選手の特徴」の活用法①はこちら
図5
よく選手のスキルをスタッツで測られる項目に「パス(全体)の回数」と「前進のパスの回数」があります。
字面だけ見ると「前進のパスの回数」の方が、バックパスも含めて全ての方向へのものが含まれる「パス(全体)の回数」よりも価値が高い評価基準のように感じられますが、一概にそうとも言い切れません。
メトロノームと呼ばれるCBたちとのパス交換も含めて、短い距離のパス交換とはいえ相手からのプレスを受けながら正確にボールを散らすことは見た目以上に状況把握能力と技術を求められるからです。(図5)
一方、もちろん「前進のパス」も簡単なものではありません。
前を振り向くスキルや、初めから前を向いた状態でボールを受けるためのグループ戦術/個人戦術による空間と時間の確保が必要です。
図6
また、いくら高さ的には前方向のパスだったとしても「前進のパス」とは同じユニット間で交わされるパスのことを含んではいません。(図6 左FBへのパス)
相手ユニットを一つまたぐパス(同 右WG【ウィンガー】へのパス)であったり二つまたぐパス(同 左WGへのパス)のことを意味します。
つまりゲートを通すような、あるいは相手の頭を超えるが味方には届くようなパスを送る技術も求められます。
この二つからひも解くと、図3、図4の右DMがこれの後者、前進するパスの配給は得意だが(あくまで可能性なのでここも本当にそうか精査が必要です)センターでボールを受けて散らすことが苦手である可能性を分析ではつかむことができるし、自チームのDMがそのタイプである場合は、このFBを押し上げて自分が間に入るリンクアッププレー(連動プレー)をビルドアップ時の基本フォーマットにすることで問題を解決できる可能性があるということです。
ちなみにFBが先に上がってDMを間に招き入れる、(もちろんDMが間にポジショニングするという約束があっての)FB主導のこのポジション移動の場合は何が考えられるでしょう。