図4-4
当然、レベルが高くなるほど守備連携に隙が無くなり、MF間にボールが入りづらく、なおかつワイドのプレーヤーへのプレスも遅れることなく遂行できるようになります。
こういったチームには二者ではなく三者でのローテーションも有効です。
図4-4では右フランク(ワイドエリア)でのローテーションを表しており、右FBのオーバーラップにより左FBがピンダウンされた状態です。
LMをフランクにつって、降りてきたWGへのパスコースを空けたいなら、AMは自分の動きをLMに見せるように移動します(①)。
WGの動きでLMの意識をセンターに持っていかせたままフランクを利用したいなら、AMは背後から移動する方が得策です(②)。
なお、瞬間での攻撃連動に対処し、降りてきた右WGをCMがケアするようだったら(初見でこれが出来るチームに出会ったことはありませんが、ハーフタイムを挟んだ後にこのように解決するチームはあります)、CM-RM間にCFが降りてボールを受けることができます。
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図5-1
ハメどころの操作は後ろに潰したり意識をさせたりする以外にもいくつかありますが、その一つが「ハメどころを(内側に)畳む」というものです。
図4-2~4-6までは、いかに相手の守備の意識を後ろに向けることで(実際に後ろに移動させることで)LM、RMのワイドのへの守備ベクトルを、弱めるか、あるいは逆手にとって間(CMとLM/RMの間)にボールを通すか、はたまた裏へボールを送るかということについて説明をしました。
「ハメどころを畳む」とはワイドへの守備ベクトルの終点を近くする、別の言い方をすれば「矢印を短くする/止める」というものです。(図5-1)
赤チームにとってのそもそもの守備の理屈は、数的不利が起きていたMFエリアでボールの移動中にスライドを実行してワイド(図の場合だとFB’)にボールが渡った時には逆サイドのFB以外の選手を全て捕まえている状態にする、というものでした。
この時にハメどころであるはずのFBを内側に移動させると非常に高い確率で担当者のLMはそれより外側のスペースを意識しなくなります。
そこにWGが降り、WGがいた場所、もしくはその裏にAMが走り込みます。
これが逆ローテーションです。
パサーのCBにどこにボールを出させたいかによって連動の順番が変わるという理屈は正ローテーションの時と同じです。
また、慣れてきた相手チームがLMをある程度幅を広げるようにシェイプする(LMとLM’の中間くらいの位置にポジションを取らせる)ことを選んだら、その相手のポジショニングを利用しましょう。
中に畳んだFBにそのままつけてもいいし、CMのプレスがそのFBにかかるようならさらに内側まで入っていき、CMをセンターにPin downした(CM-LM間を開かせた)状態で、前線で左FBに対して2対1が出来ているAMかWGが、そのCM-LM間に顔を出すことができます。
が、このシェイプで対処するチームの方がまれで、実際はほとんどのチームが中を閉めて、ワイドにボールを入れることを許し、パスを受けた選手(図の場合だと降りてきたWG)に前を向かせてしまいます。
※「専門家のサッカー解説書 GK、DFからのプレー ②」より抜粋