まず「担当者誰なの?」状態を作りやすいポジションとして分かりやすいのが、各フランク(ワイドエリア)に1枚ずつしかいないWB(ウィングバック)です。
相手がこれをよく下がるWG(ウィンガー)/WM(ワイドミッドフィールダー/サイドハーフ)のような扱いをしてFBが捕まえにくるなら2トップ(2FW)やAM(アタッキングミッドフィールダー/オフェンシブハーフ)がその空いた穴を狙いに広がります。(図18)
図18
これをよく上がるFBとして捉えてWMが担当するなら数的有利ができているAMがゲート間でボールを受けられます。(図19)
図19
そもそもファーストビルドアップ(ディープビルドアップ)の時点で3対2の数的有利が作れています。GK(ゴールキーパー)も入れたらプラス2の状態です。(図20)
3バックが一直線に並んでしまって、相手に簡単にボールから遠い側のDFを死に体にさせられることなどがなければ、実は仮に中盤が同数であったとしてもパスを通しやすい条件が揃っています。
図20
それではこのやっかいなAMを相手はどのように扱うのでしょう。
よく下りるCFだと捉えてCB(センターバック)がついてきてくれればラッキーですが、そんなことをしたら最終ラインの中央に穴が開きます。2トップ対1CBというあり得ない状況です。もし実際にそんな状況が訪れたら空いた穴にボールを放り込むだけです。(図21)
図21
というわけでこれをそのまま前後左右に良く動くMF(ミッドフィールダー)と捉えて4-4-2を4-1-4-1とシフトチェンジする対応があります。
そうなれば今度は自分たちの最終ラインに3対1の超優位性が生まれます。相手守備のファーストユニット(1トップ)の脇に簡単にボールを送ることができ、特にRB(右バック)-LB(左バック)間でパス交換があった場合などでは、相手の最終ラインからの距離が近づいた状態でペネトレーション(突破)のボールやその一歩手前のボールを送りやすくなります。(図22)
図22
また主にドリブルとセットになることが多いですが、その筋道(FWへの足元へのパス)への守備ベクトルを相手に出させることで(警戒させることで)WBがかなりフリーの状態で、多くは高い位置でボールを受けやすくなります。(図23)
図23
これを嫌がって、このAM分の(相手から見た)数的不利を、中盤の人数を増やすことではなく2トップは2トップで残したまま、WMを絞ることで対処しようとするのがほとんどのチームの考えになります。