ちょこまか動く鬱陶しいこのAMを人(数)ではなくシェイプで対処しようとするものです。
そしてそうなると今度はWBが標準フォーマットのポジショニングでもアイソレートされた状態でパスを待つことができやすくなります。(図24)
図24
つまりWBとFBを除いた9対11をセンターで行わせ、WBをフリーの状態にしやすいというのがこの3-5-2の大きな特徴の一つですが(図25)、この理解があまりよろしくない選手がWBをやると、通常の段階(FBがディフェンスラインに侵入してくる選手をケアできる状態のとき)から高い位置を取りに行ってしまい、相手にとって「誰が誰をケアするのか分かりやすい状態」になることがあります。(図26)
図25
図26
これではタイミングの見計らいも何もないただのポジション移動です。
ここはきちんと選手を理屈で納得させたいところです。
他の「担当者誰なの状態」を作りやすいポジションとしては2トップの二人があります。
「こいつら、よく開くCFなの?それともよく絞るWGなの?」状態です。
FWがCB-FB間にシェイプしてくれていれば、WBにボールが出る前はおろか、ボールが渡ってからもFBのWBへのプレスを牽制することができます。(図27)
彼らが裏を取れるからです。図18と結果は反対ですが根底にある原因は同じであると言えます。
この、相手が前に出られないようにその場に束縛するための動きやポジショニングをピンダウン/ピンバックと言います。
図27
もしFBがWBに食いつくならFWたちが裏を狙えます。図18の状況です。
図18
そしてAMがFBの裏のスペースを狙った場合、もしCBがそのケアをするのであればFWが中央の裏を狙えます。(図28)
図28
FWがFBの裏を狙ってそのFWにCBがついていく場合は、実は「よく下りるCF」だったと言わんばかりにAMが2列目から飛び出します。 (図29)
図29
このようにAMが最前線への移動を当たり前にするのであれば、反対に2人のFWはAMの役割をこなすことが簡単になります。その一つが中盤のパス交換へのヘルプです。(図30)
図30
つまりこの2トップ+AMの3人の間だけでも流動性が高まるので、相手のとっての「担当者誰なの?」状態を作りやすくなるということです。