目標達成のツール⑥ -セルフモチベーティング- (全9回)

 

 

目標達成のツール -書く理由-

目標達成のツール -目標設定のしかた-

目標達成のツール -期限とルート-

目標達成のツール -行動の仕分け-

目標達成のツール -自己分析-

この「傾向を知る(自分を知る)」ための検証での比較には様々なものがあります。

前述した「自分のキャパを極端に超えた努力量設定」と「自分の能力に近い努力量設定」の比較を言い換えると「詰め込み型」と「ゆとり型」の比較と言えなくもないですが、この二つの比較を取っても様々です。

 

例えば詰め込みすぎてキャパオーバーになってしまい、常にスケジュールに後れを取るような状態になることが自己肯定感をそぐ結果に繋がってしまう人もいれば、その状態の方がタスクに集中できるという人もいます。

 

また定期的なリフレッシュや休暇がその後の生産性に良い影響を及ぼす人もいれば、その休憩時間のせいでオフ明けの脳の再起動に負荷がかかりやすく「波に乗る」まで時間がかかって非効率、という人もいます。

 

例えば私自身の例でいいますと、それぞれをもちろん試したうえで、タスクに対する再起動にかかる時間を考慮して、半日休みというものを週に2回ほど用意しています。

 

この再起動の考慮にはただ単に集中力や熱意、好奇心といったマインド面からの視点だけでなく、前回どこまでやったかを振り返る時間だったり、記憶の欠如や習慣化されていないせいで起こる作業の非効率さの問題から鑑みた技術的な視点も含まれています。

 

要は私という人間の根本が「ノっているときには仕事がはかどるけど、ノるまでに時間がかかる」堕落人間の一種だということで、それを私自身は自覚しています。

 

以前の記事でもお伝えしましたが、食に関しても私は堪えの利かない性分で「週に一度何でも好きなものを食べていい」というような0か100かのルーティーンを作ると失敗しがちです。

元のルーティーンに戻れなくなるからです。特に食に関してはダイレクトに翌日の体調に影響を及ぼすので、今では「半日オフの前日の夕食のみ自由」それも「それの用意に少しでも面倒臭さを感じたらいつもの食事にする」くらいに設定しています。

 

もちろんこれは私個人にアジャストした設定であり「0か100か」の設定を否定しているものではありません。

「詰め込みすぎ」と「ゆとり」のどちらかに優劣をつけてもいません。

 

ただここで少し考えなくてはいけないのは、特に誰かに指導、教育する場合ですが、世の中のトレンドとして「ブラック企業」や「〇〇ハラスメント」などのワードから窺えるように、基本的にはストレスへの耐久に対してここ数年社会全体がアレルギー反応を見せていることです。

 

「ホロコーストで生き延びることができた人というのは意志が強かった人や体が丈夫だった人ではなく、どんなときでもユーモアを忘れなかった人」という内容の本を少年時代に読んだ影響もあってか、私自身もこのユーモア、あるいはそれに置換可能な「ゆとり」に対してはポジティブな感想を持っています。

 

しかし一方で人気飲食店の行列に何時間も並ぶことができたり、徹夜でゲームができたりするところから考えると、ことストレスに関してはタスクの「量」、つまり時間が問題なのではないということがよく分かります。

 

自分で決めたことでもそれが「目標を達成するための」タスクから「こなすための」タスクになってしまうことはしばしばあります。

サッカーの現場でよく使われる言葉「練習のための練習」になってしまっている状態とある部分において似ています。

 

この「自分が決めたことなのにやらされ仕事」化する現象は、「自主的に部活に参加しているはずなのに休みになると嬉しい」というあるあるの反応からもよく分かります。

 

毎日毎日完璧に楽しさと好奇心を持ちながらタスクを遂行するのは難しいでしょうが、その質や量や順番もやはり自分専用にアレンジして少しでもストレスを減らしたいところです。

 

ちなみにプランニングに慣れていない人ほど、自分のストレス耐性を無視して「(やりたくないけど)やるべきこと」を詰め込んで失敗する傾向がありますが、もう一つの初心者あるあるの傾向を言っておくと、プランニングに時間をかけすぎて計画表を作り終えた時点で達成感を覚えてしまい、その後の実行は持っても一週間程度、というものがあります。

 

しかし計画はあくまで計画です。

詰込み型の計画表だろうがゆとり型の計画表だろうが、それが見切り発車になろうともとにかくまず発車することを強くお勧めします。

 

特に最初のうちは3~4割程度の完成度で構いません。

作っている時点で「100%変更されるだろうな」くらいの気持ちで計画表作成に取り組んで構わないし、実際に変更されます。

 

例えばプロジェクトをスタートする前からひと月以上も先の日毎計画を懇切丁寧に立てておくと、その行為自体が良くない働きかけをすることさえあります。

 

一つは検証のための「振り返り」が嫌になる、ということです。

「プランニングの時点であんなに時間がかかったんだから、実際の行動を振り返ってリプランニングするのにも相当の時間がかかるんだろうな」というネガティブな感想を持ってしまいがちになるからです。

 

もう一つは準備(計画表)がないと動けない(行動できない)いという消極性(言い訳)を生み出す危険性があるということです。

 

私はよく自分自身に対してだけでなく、自分の選手に対しても

「準備を失敗する」ということは「失敗のための準備をする」とういこと

という有名な言葉(詳しくはこちら)を色々な場面で活用しますが、これには反対に準備不足が行動不足の言い訳に適用される恐れがあり、そしてそれを許してはいけません。

 

そういった観点からも、例えば大枠の輪郭(中期でのチェック項目など)はしっかり設定するが、日ごとの計画はオフの日に次の1週間分だけ立てるなどのように工夫する必要があります。

要はあえて最初の段階では完成させないということです。

 

ちなみに上記の2つは完璧主義者が陥りやすい傾向とも言えます。

 

完璧主義者というワードが出てきたのでここで彼らが他にも陥りやすい傾向とその対策について触れておきましょう。

 

彼らが立てた一日の計画が「詰め込み型」であろうと「ゆとり型」であろうと(たいていは「詰め込み型」ですが)、一日の最初に行うタスクを遂行できなかったとき、それ以外の残りのタスクも全て駄目になる傾向があります。

 

これは完璧主義であるがゆえに訪れる感情「どうせ今日はどんなに頑張ってもパーフェクトにはならないんだから残りも全部さぼってもいいや」に向かってしまうからです。

 

完璧主義とは神経質とも言い換えることができます。

そして彼らは鬱になりやすいとも言われています。

そんな彼らに、例えば朝寝坊をしてしまった日の、あるいは朝の自己研鑽をさぼってしまった日の、残りの一日を充実させるためにはセーフティネットが必要です。

 

つまり、たった一つ二つのタスクをすっ飛ばしたからって「他ももういいや」状態にならないためのストレス緩和策が必要だということです。

 

例えば一日単位でタスクを管理するのではなく週単位にするとかです。

しかしここでもまた注意が必要です。

人によっては週の最初に一気に詰め込んで週後半をオフにしてしまい、それ自体は悪いことではないものの、オフ明けの翌週、休みすぎの影響で脳の再起動が上手くいかず、一日の最初のタスクどころか週の前半2、3日を丸々無駄にしてしまうこともあります。

 

こういうタイプにはむしろ「どんなにノっているときでも仕事はこの時間まで」という制限を設けた方が効果的です。

 

それではこの手のタイプの「他ももういいや」状態緩和はどのようにしたらいいのでしょう。

 

もっと小さなこと、細かいことでいいんです。

例えば書くことそのものが楽しくなるように、少し贅沢なノートや付箋、筆記具を使うなどです。
こういったことは女性が非常に得意です。

 

また、こちらは私自身の例ですが、日々のタスクを遂行したか否かをチェックするデイリーチェックシートを使っていますが、私はこれをつけるのが長いこと嫌いでした。

 

理由は遂行できなかった項目に「×」をつけなくてはいけないからです。

それだけでなんだがディモチベートされてしまいます。

よって私は「×」の代わりに、できなかったタスクのマスには「→」を入れるようにしました。

 

人によってはこれだけでストレスが緩和されることもありますが、私の場合はあまり効果がありませんでした。

もともと週一回のペースでしか遂行しないタスクもその表(デイリーチェックシート)の項目に入れていましたが、それを遂行しない週6日分の「-」が並ぶ様も、「→」同様私には少し嬉しくない絵面でした。

 

よって私は「どれだけしっかり頑張っているか」より「どれだけさぼっているか」にばかり目が行ってしまう、つまり「デイリーチェック」はモチベートどころかディモチベートしかしない、という理由により、日ごとのチェックをやめてしまった時期があります。

 

これは次回の記事で伝える予定ですが、「書くこと」の初期の段階、自己肯定感を上げることを主な目的にしているときはそれでもいいのですが、次の「行動の罠から抜ける」段階まで来たときにはやはり日ごとのチェックと、それを一目で可視化できるシートは必要になってきます。

 

というわけで考えた結果、表で管理するのはやめて、ディモチベートもされない、可視化もできる、グラフタイプのもので日々のタスク遂行チェックをするようになりました。

 

つまりやった分だけ積みあがっていくタイプのもので、それが日ごとに30日分並ぶので、どの曜日にはどんな傾向に陥りやすいかなどの分析もしやすくなりました。

それとは別に「抑制したいこと(もの)」をチェックするのにも、表ではなくグラフを使っていますが、同じように分析と対策がしやすくなっています。

 

これはもともと数多い海外生活の中で、文房具大国日本のように様々なサイズのルーズリーフやファイルがそう簡単に手に入るわけでもない状況下、仕方なしにPCでの管理を始めたところから発案できたものです。

 

以来、私は日本に居住しているときも紙での管理は日誌のみにして、その他はデイリーチェックグラフも含めて全てタブレットで管理するようにしています。

 

少し個人的な例が長くなりましたが、まとめると、自分の性格を行動から分析して、自分を気持ちよくさせる仕組みづくりを細かく設定してあげることが大切だということです。

 

(つづく)

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